アメリカでの公的な医療保険として、高齢者向けのメディケアと、低所得者向けのメディケイドがあります。しかし、多くのアメリカ人と、留学・赴任者を含めた外国人は、民間の医療保険を使うことになります。
公的に統一された保険ではなく民間のものですので、その種類や条件は本当に様々ですが、代表的なプランには次のようなものがあります。
- Fee-For-Service(FFS)
出来高払い保険です。自分の行きたい医師・医療機関を受診できます。医療費抑制のために、マネッジド・ケア(Managed Care)が導入されたので、研究者の家族が使う機会はあまりないと思います。
- Health Maintenance Organization(HMO)
マネッジド・ケアのひとつで、常に、あらかじめ決められた初診担当医(Primary Care Physician, PCP)を受診します。PCPが必要だと思えば、ネットワーク内の専門医を紹介してくれます。PCPは、大人の場合は内科医(internist)か家庭医(Family Physician/Practitioner)で、子供の場合は小児科医(Pediatrician)か家庭医です。保険料が比較的安い反面、多くの制限があります。
- Preferred Provider Organization(PPO)
これも、マネッジド・ケアのひとつですが、PCPを決める必要がなく、専門医を含め、かかりたい所にかかれます。ただし、提携のネットワーク外(Out of Network)の医師・医療機関を受診する場合は、自己負担金が高くなります。
- Point of Service(POS)
HMOとPPOの中間です。あらかじめPCPを決めますが、ネットワーク外の専門医・機関でも、割高な自己負担をすることによって受診できます。
保険のプランを選ぶ上で大切な言葉が3つあります。
- 年間免責額(Deductible)
医療費が、この金額に達するまでは保険からの支払がありません。たとえば、免責500ドルのプランに入っていて、1500ドルの医療費がかかった場合は、差額1000ドルの中から自己負担分を除いた金額が保険から支払われます。言い換えると、免責額全額と残りのうち自己負担分は自分で払わなければなりません。
- 自己負担(Copayment, Co-pay)
これは、20ドル、50ドルなどと定額だったり、10%、20%などと割合だったりします。プラン毎に、初期治療・専門医・検査・救急外来・入院・手術・投薬に対する自己負担額が細かく決められています(下表参照)。
- 年間最大自己負担額(Out of Pocket Maximum)
年間に自分のポケットから出す額(Deductible分とCo-pay分)が、これを越えた場合、保険会社が100%払ってくれます。ただし、Out of Networkの医療費が含まれなかったり、色々規定がある場合もありますので、注意が必要です。月々の保険の掛金(保険料)は含みません。
ここで、保険プランと保険料の例をあげてみます。
|   | HMO | PPO |
| 一般医受診 | $15 | $15 |
| 専門医受診 | $30 | $30 |
| 救急外来受診 | $75 | $100 |
| 妊娠初回外来 | $15 | $30 |
| 分娩時入院 | $100 | $100 |
| 外来手術(施設) | $50 | $50 |
| 外来手術(医師) | $0 | 10% |
| 検査・レントゲン | $0 | 10% |
| 入院費用 | $100/入院 | $100/日 |
| 投薬(レベルにより) | $10〜$100 | $10〜$55 または25% |
| 年間免責額 | なし | $250 ネットワーク内 $500 ネットワーク外 |
| 年間最大自己 負担額(本人) |
$ 2,000 | $ 2,000 |
| 年間最大自己 負担額(家族) |
$ 6,000 | $ 6,000 |
| 月額保険料 (本人のみ) |
$ 37 | $ 162 |
| 月額保険料 (夫婦) |
$ 156 | $ 427 |
| 月額保険料 (家族) |
$ 168 | $ 462 |
これは、夫の所属機関(私立大学で民間の保険会社と契約)でのプランの一部ですが、かなり割高だと思います。以前、別の所に払っていた保険料は、同じような条件でも、もっと少なかったです。
留学先から医療保険の提供がされない場合は、個人的に保険を買うと高いので、日本からの海外旅行傷害保険を使うことになるでしょう。
J-1/-2ビザで留学される場合は、必要な保険の条件(英文)がありますので、申し込み前に確認して下さい。Global ProtectionでJFC海外赴任者総合保障制度を申し込まれれば、資料が無料でもらえます。
「海外旅行傷害保険」と「現地での医療保険」の一番の違いは、「妊娠出産」と「既往症(pre-existing medical condition)」の扱いではないでしょうか。
「海外旅行傷害保険」は妊娠出産・歯科治療・予防医学をカバーしませんが、「現地での医療保険」は、これらもカバーするものが多くあります。ただし、妊娠が分かってから、「現地での医療保険」に加入する場合は、生まれてくる子供のための費用はカバーしても、妊娠出産のための費用をカバーしない場合があります。
日本で治療中の「既往症」に関連した医療費は、「海外旅行傷害保険」ではカバーされない場合が多いでしょうが、「現地での医療保険」では、一定の条件を満たせば(契約後一定時間待つなど)、カバーされることもあります。





